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このブログは、シルバーレインに置いて行動中の「呪炎・アカネ」「明正・捩木」の行動記録を、小説……または一人言を掲載する為の場所であります。サブである「ベルス・ペルシアル」「速水御影」もちょくちょく出てきます。その四人と馬鹿背後の提供でお送りします。
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それは突然の思いつき

急に、なんだか面倒になって…全てを捨てたくなる時って誰にもあると思う。
頭の中を真っ白にして、ただ呆然と何も考えずに時間を浪費したい時が…あると思うんだ・

誰だって…

その日は、戦争が起きると通達されて…その短い区間の朝のことだった。
突然、私は学校を休みたくなったのだ。
自主的休養、悪く言えばサボり。

何かあったわけじゃなくて…ただ、気持ちを落ち着かせたかった。
ざわざわ…いつもの寂しい病だったのかもしれない。ただ…一人で何も考えない時間が欲しかった。

校舎を抜け出して、通学路の途中にあるコンビニで牛乳とアンパンを購入。

食べなれた『せんべい』を買う気にならなかったのは久しぶりだった。

少し遊び歩いた。

けれど…結局行き着いた先は、名前もしれないビルの屋上。
何かのビジネスビルだったのだろうか?
工事中の看板が見えた気がしたけれど、もう工事もしていないらしく…我が物顔で私はそこに侵入した。

コンクリートの床、錆びた金網のフェンス。
そこは月下楼閣の屋上に似ているようでいて…全然雰囲気も違う場所にも思えた。

「あ…」

ただ驚いたことが一つ。想像もしていなかった人物が一人いた。

「何やっているんですねん?こんなところで…」
「お前こそ…戦争前でカリカリしているこの時期にサボりとは、余裕だな馬鹿」

振り向きもしないで、ただ黙って背を向けて床に座っていたその人は、私の良く知る弟の捩木だった。
声だけで、私が誰か察しがついたようで…いつものように生意気なことを返す。

自然と、私も横に座った。

「サボりなら捩木も一杯しているじゃないですか」
「俺は修行しているんだ」
「じゃ…ここに来たのも修行? その割には鉄アレイとか、見えないけれど?」

私は笑いを堪えることができなかったと思う。口元が自然と上がっていたかもしれない。

「精神修行だ」
「こんな場所で?」
「そうだ……」
「ふ~ん」

嘘をついている様子はない。というか…捩木は基本、自分のためになる嘘をついたことがない。
私はそれを知っていた。この子が嘘をつく時といったら…いつもいつも、他人を傷つけないようにする時だ。

きっと…精神統一。そんな名目で私と同じように、ここに辿りついたのだろう。
そう考えることにした。

「今日は…寒いね。まだ2月だし、当然か」
「当たり前だろう。夜でもない。増して…昼間にこんなところに出てくるお前の方が珍しい」
「ありゃ…そんなに夜族じゃないですよ~自分は」
「そうだな、お前は月が好きなだけ。そんな馬鹿らしい理由でいつも外に出ているんだったな」
「…………」

なんとなく、捩木の頭を殴った。グーで。
一瞬渋い顔で私を見返したが、
すぐに私がアンパンの半分を差し出すと、彼は何も言わずにそれを受け取った。

「何かあったの?」
「別に…」

アンパンを一緒に齧る。なぜか、タイミングは同じだった。

「人を完全に信じられるか?お前は…」
「信じられるわけないでしょう?それに…人を完全に信じるなんて、その人に対する裏切り行為だ」
「そう言うと思った…お前は臆病者だったな」
「素晴らしい関係ほど…心配して、驚かされて、それでいて、支えたいと思う物だよ」
「……」
「だから、進歩する。完全に信じて、寄りかかろうとするのは卑怯というか…成長を止めている。そんなのは損だと思うよ」

「それでも…介入することが、針になることだってある」

そこで、捩木は立ち上がって私を睨み付けた。
その瞳はどこか悲しそうで…寂しそうだった。

やっぱり…私の弟なんだな~って、思ったんだ。

「何があったのか…聞かないけれど。捩木は損ばかりだね」
「ん?」
「甘えるのが下手。いつもいつも…相手のことばっかり考えて、自分を二番にして…」
「俺の正義は自己満足だ。いつも俺は自分を中心に考えて、正義を実行している」
「理屈じゃないんだよな…」
「何が言いたい?」

パックの牛乳、冷たい物を選んだのはワザとで…ストローで一気に飲む。

「もっと…我侭になっても、良いよ。君はね?」

ふふふ…と声が出てしまった。

「甘えて…それで叱られて、私達はずっと子供だよ。だってそうでしょう?下手に大人を目指すより、子供の方が多くのことを学べるんだから。それが悪いことだとは思わないけれど、出る答えは多少なりとも変わってくるよ」

「俺は…」

「怖いんでしょう?まだ……誰かに知って貰うことが」

アンパン…私の分は食べ終わってしまった。

「失敗したら怒られて、それでも頑張ろうって思う人。私はそんな人、とても応援したくなるよ」
「それは理想論だ」

「かもね~人は色々いるから。でも…だから目を背けるのは、挑戦しないで諦める逃げと同じ」

それ以後…捩木は何も言わなかった。一緒に、屋上で座っているだけ。
結局、最初に屋上を後にしたのは私が先で、どこまで捩木がそこで黄昏ていたのか。
そんなことは知らない。


「ありがと…アカ姉ぇちゃん」

立ち去る私の背中に、そんな小さい声が向けられた気がしたけれど…きっと気のせいだろう。

ま、本当に捩木がそう言ったのなら…昔の呼び方を出されて、少し照れくさくなってしまうね。

うん…きっと…
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進歩

アカネも進歩したな
今回は助言いらんな
人はいろんな奴がおるからな
信じられ裏切られいろんなことがあるや、だから人は前に進む過去にもっどれんのや、だから人は前へ前へ進むしかないんや
おっと少しかたってもうたな
アカネに捩木足を止めずに一緒に前へ進んでいこうやw
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プロフィール

HN:
呪炎
性別:
非公開
趣味:
世界鑑賞と小説書き
自己紹介:
Sであり同時にMでもある。
属性としては「SM」でも極端にアレなのは勘弁だね。
ソフトが一番でしょう?え?どうでも良いの?
あっ…そう?(///)

人の心とはとても美しく醜いと日頃から考え、他人の意見を吸収しながら、常に流されないように努力しているつもり。

自分のキャラである「アカネと捩木」を苛めるのも大好き。
苛められるのも好き。

だが、他の皆から構ってもらうことは、何よりも幸福を感じるウサギのような人間。

月がとても好きだ。
マイ箸はいつもウサギプリントの物を使うピンポイントなポリシーを持つ変態紳士。

紳士ならば、全力で女性を愛し尊重せよ!!美しき男達を尊重し、彼らの美しさを称えよ!

ここまで書いて思った。俺は最低人間であると!!
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