どうしてこんなにも心が乱れるのだろう……こんな時間がいつまで続くのかも、わからないのに。
そう思って、私は重い心を抱いて…今日も月を見ている。
心配するのは当たり前で、どうしようも無い事情なのは理解できている…けど。

「私……また自信が無くなっているのかな？」

屋上の風が今日だけは冷たく感じる。
いつもなら、心地良いはずなのに……心が寒い。

羅刹さん…アナタは今どうしているのだろう？
それを考えるたびに…心が悲鳴を上げている。
とてもじゃないが、これはマイナスの兆候に他ならない。
いつまでも羅刹さんと、こういう関係でいられるはずがないこと…知っていた。
ただ…彼がいないと不安になっている自分自身に、恐れを抱いている。
誰かに依存することは否定しない、だがそれが常に傍にある物だとも……無常ながらこの世は断定できないのが現状なのだ。
人と人の結びつきは出会いと別れと、再会だ。それが基礎となる。

「羅刹さん…また、会えるんだよね？……また変な冗談を言い合って、笑えるんだよね？」

怖い……誰かを必要としている自分が。
嫌われたくない。好かれたい……不安に思う要素は無い状況なのに…心が寒いと悲鳴だけを訴える。

また風が吹いた。

隙間を狙うように、私の心を凍てつかせる風が……

「月…今日はなんだか…霞んで見えるよ。なんでかな？」

迷惑になる。こんな気持ちを抱いても無駄。ただ……現状に流されているだけなのに。
今の焦燥は、なに？恐怖はなに？これよりも怖いことは…この先にもあるのは知っている。
なのに……怖い。

「どうして、私はこんなにも弱いのかな？」

最後の声だけは、震えていることを自覚した。
けれど、その日……私は、夜が明けるまで、寒い屋上に立ち、ただ体を奮わせるしかなかった。
だって、嫌な夢を見ることは予測できたから。
それに…私のマンション、月下楼閣は結社になったのだ。

こんな泣き顔を、誰にも見られたくなかった。……だから、その日は部屋に戻らなかった。

「無駄な気持ちなのに…なのに……怖いよ。会いたい……会いたいよ。羅刹」